時は'85年1月15日。前日の14日に上野を出た夜行急行 列車『津軽』に乗車した私は東北本線を北上。列車は日付が変わった1時頃に黒磯へ到着した。
 ここ黒磯駅を境に電化方式が直流から交流に変わるため、客車列車の『津軽』は機関車付け替えのためしばらく停車する。その合間を利用し、留置線で休んでいた『EF58型直流電気機関車』を撮影した。
 この『EF58』は、『ゴハチ』という名でファンに親しまれている、それはそれはとてもメジャーな形式だ。'82年頃から定期仕業から急激にはずされていき、次々と廃車になるので、それを追うファンが急増。この現象を、一時期『ゴハチフィーバー』と呼ばれたりもした。
 この形式の初期ロッドは戦後直後の'46年に製造 され、'58年までに172両製造された。製造の年代や使用線区、改造などにより 、様々なバリエーションがあるため、語ると一冊の本ができてしまうほど。それがファンを多く集めた魅力の一つであろう。
 写真のEF58 103号機は'56に日立製作所で製造された。東海道・山陽線などで活躍後、'77年頃の宇都宮機関区転属時に、客車へ の暖房用熱源供給装置をSG(蒸気暖房)からEG(電気暖房)へ改造を受けた。
 東北線仕様の宇都宮区らしい特徴を持つカマ(現場やファ ンは機関車のことをカマと呼ぶ)で、主に荷物列車の牽引で最後の活躍をしていた。このゴハチは廃車までそんなに日がないと言うのに、国鉄再建のため宇都宮機関区が廃止されたため、田端機関区に移管された頃でもあった。
 ちなみに、写真の左隅に写っている旧型客車は、東北本線の黒磯から北で普通列車に使用されていた車両だ。よい時代だったなぁ〜。