洗足池
〜洗足風致協会刊『洗足池』に思いを寄せて〜


 平成7年に出版された『洗足池』(非売品)は洗足風致協会から設立60周年記念として出された洗足池について判っている事柄の集大成的な書物です。それを図書館で見つけ、読みふけってしまいました。池上線に関することはほとんど出てこないのですが、思うことが多かったので、感想というか、補完というか……。書きつづってみることにしてみます。

●洗足池は人工的な溜池である
 意外と知られていないのですが、洗足池は江戸の前より堰によって川を堰き止め、4つある川筋を集めた潅漑用人工池なのです。 洗足池駅のホームに立って見るとわかるのですが、池上線の築堤はむろんのこと、中原街道の反対側はずいぶんレベルの低い谷となっています。
 文献を色々調べてみると、堰が作られた時期ははっきりわからないが、江戸時代より前からあったことはたしか、とのこと。江戸時代初期に幕府が調べ上げた『新編武蔵國風土記稿・巻之四十五』(文政十一年(1828年))に書かれていた内容が風致協会刊の『洗足池』に書かれていて、それによると、「池上村は千束池の辺りにある村なれば、この名起これりと云う。それも今の地形にては疑わしきことに思はるれど、往古はこの池甚だ潤くして、本門寺の山麓までも池中なりしとぞ」 「かかる大池のある地なれば、当村のみあらず池尻、池澤なといえる地名も皆、この池より起こりしなりと言えり」などと書かれていたそうです。
 要約すると、江戸の調べた担当者も「本門寺の麓まで千束池だったなんて地形的に無理があるじゃろ。と思っていたけど、昔はそーゆー時代もあったかもね。


 洗足池駅から徒歩1分、中原街道を渡ったすぐにあります。上空から見ると、漢字の『水』という字に見える洗足池は、昔から「池」ではありましたが、江戸より以前から潅漑用として使われ、いつしか堰も作られ、より大きな溜池となりました。江戸時代にはその美しい風景が評判を呼び、広重の名所江戸百景にも描かれるほど。大田区の平野部の田畑を潤していましたが。中原街道に面したところが不自然に直線なのは、埋め立てもありますが堤でもあった名残です。
 池の周囲は30分ほどで散策することができ、勝海舟の墓や日蓮上人ゆかりの「笠懸の松」などの史跡もあります。
 桜の時期には、隣接する桜山にソメイヨシノが咲き乱れ、大変なにぎわいを見せます。
 貸しボートもあり、手こぎボートや足こぎタイプ、スワンタイプと選べますが、スワンタイプは弁天橋をくぐれず、ただの足こぎタイプがオススメですね。なまった体を動かすにはちょうどいいし、デートにもぴったり(^^ゞ
 貸しボートの建物にはレストランが入っています。けっこう気合いが入っていて、値段がちょっと高いけど、これまたデートにはおすすめ。



周辺の施設
洗足池図書館徒歩3分(洗足池湖畔、不定休)
洗足池病院徒歩2分
都立荏原病院徒歩14分、駅前から路線バスあり(1時間4〜5本)
大田区役所雪が谷出張所徒歩12分、路線バスあり(同上)
洗足福祉会館徒歩3分
アクアショップいるか
(熱帯魚)
徒歩8分
 あと、スポーツ施設とか、ゴルフ練習場とかあります。商店街はあまり活気がありません。銭湯も徒歩8分のところにあります。駅周辺に喫茶店は2店。パチンコ店1店。
 周辺は低層の住宅街で建坪率とかが厳しそう。けっこう高級感がある家もちらほら。狭い道も少ないし、住環境はいいみたいです。